[ ご挨拶 ]


 演劇は遊園地に似ていると思います。
 ジェットコースターなどのアトラクションは、乗っている側にとって見れば一瞬の驚きと興奮にしか過ぎないかもしれません。しかし、その裏には安全性を大前提としつつもギリギリの興奮が味わえるような最新のテクノロジーが、たくさん駆使されているのです。
 ただの乗物では味わえない興奮を、ギリギリの技術で作り出す遊園地。そして、それらの乗物に乗るまでのわくわくした気分を作り出す美術。アテンダント。そして、宣伝。
 遊園地は、まさに「演劇寸前のエンターテインメント」であると言えるのではないでしょうか。
 
 生身の人間によって表現される物語を、美術、音楽、照明、大道具、小道具、衣裳、メイク、アクション、ダンス---------考え得る全ての「芸術」が参加して紡ぎ出す演劇というエンターテインメントは、地球上に生きる人間にとっての最後のゼイタクなのかもしれません。
 そして、そうやって生み出されたゼイタクを、綺麗なパッケージに包んで提供し、ハイテクノロジーを使って何万人というお客様と一対一でお付き合いし、そして劇場という異空間にお迎えしたらそこからは一切の「いやなこと」を忘れていただいて、最高の夢をお見せする。それが「製作」の仕事です。
 もちろん、お客様に気持ちよくご覧いただくことも大切ですが、俳優、スタッフが気持ちよく働けるように全ての段取りをスムーズに進ませるのも、製作の仕事。
 劇作が最高におもしろい芝居を創り、お客さんが大きな拍手を送ってくださり、そして製作がそのみんなが心地よく過ごせる空間を作り出して、「劇作・観客・製作」の3つの存在が力を出し合った時、そこには大きな渦が生まれます。その渦は、もう誰にも止められません。お互いがお互いの良い方へ良い方へと物事を進めるようになる「ポジティヴの連鎖」が生まれてしまうからです。
 「観客」のフィールドから「製作」のフィールドへ飛び込むのは、容易ではありません。「好き」だけではできませんし、「仕事」としてだけでもできません。「気合い」だけではできませんが、「覚悟」がなければできません。僕は、あなたの「ウォームハート&クールヘッド」をお待ちしております。
代表取締役 加藤昌史

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